10月13日は、九州の電力の歴史にとって一つの節目の日です。
2018年10月13日(土)、九州本土で初めて、再生可能エネルギーの出力制御が実施されました。 そして2018年度には、計26回の出力制御が行われています。
出典:
- 九州電力「九州本土における再エネ出力制御の実施状況について」第21回系統WG 資料1(2019年4月26日)経済産業省ウェブサイト(PDF)
- 九州電力 第17回系統WG資料(2018年)経済産業省ウェブサイト(PDF)
- 北海道電力ネットワーク 第45回系統WG 資料2-1(2023年3月)経済産業省ウェブサイト(PDF)
出力制御とは
電気は、つくる量と使う量を常に一致させる必要があります。発電が需要を上回りそうなとき、電力系統を守るために発電を抑えるのが出力制御です。
とはいえ、いきなり再エネを止めるわけではありません。再エネの出力を抑える前に、火力の出力を下げる、揚水でくみ上げる、地域の外へ送るといった対応を先に行います。それでも電気が余る場合に、再エネの出力を抑えます。
つまり、2018年10月13日は、そうした対応を行っても電気が余る日が、九州本土で初めて来た日だったと言えます。
なぜ九州だったのか
九州は、太陽光発電の導入がいち早く進んだエリアです。晴れて気温が穏やかな秋の休日は、冷暖房の需要が小さい一方で、太陽光は大きく発電します。
「発電は多いのに、使う量が少ない」。この条件が重なったのが、10月の週末でした(九州が蓄電池の適地である理由)。
その後、出力制御は珍しくなくなった
初めて実施された当時は、大きなニュースとして報じられました。しかしその後、九州では春や秋を中心に出力制御が繰り返し行われるようになり、特別な出来事ではなくなっていきました。
さらに、出力制御は九州以外の複数のエリアでも行われるようになっています。太陽光を中心とした再エネの導入が全国で進んだ結果、「電気が余る時間がある」ことは、九州だけの話ではなくなりつつあります。
余る電気を「捨てない」ために
出力制御は、電力系統を安定させるために必要な措置です。ただ見方を変えれば、発電できるのに使われずに終わる電気があるということでもあります。
この余る電気を減らす手段の一つが、蓄電池です。
- 電気が余る昼に充電して、行き場のない電気を引き取る
- 電気が足りなくなる夕方に放電して、必要な時間に届ける
蓄電池が増えれば、それだけで出力制御がなくなるわけではありません。ただ、送電網の整備や需要側の工夫などと並んで、余る電気を活かす手段の一つとして期待されています(電気にも「旬」がある、電気のリレー)。
投資の視点で見ると
余る時間と足りない時間の差は、市場価格の差としても表れます。蓄電池の収益は、この価格差から生まれるものです(JEPXと蓄電池)。
ただし、価格差の大きさは時期や天候、制度の変更などによって変わります。「出力制御が多いから必ず儲かる」という単純な話ではない点には注意が必要です(需給調整市場の収益はなぜ変動する?)。
まとめ
- 2018年10月13日(土)、九州本土で初めて再エネ出力制御が実施された。2018年度は計26回。
- その後、出力制御は珍しいものではなくなり、九州以外の複数のエリアでも行われるようになっている。
- 蓄電池は、余る電気を貯めて足りない時間に届ける、余剰を活かす手段の一つ。
8年前の今日を振り返りながら、これからの電気の使い方を考えるきっかけになれば幸いです。
※出力制御の実施状況や市場価格は、時期・エリアにより異なります。
