「蓄電池は何年もつのか」——設備投資である以上、避けて通れない質問です。今回は劣化の仕組みと、投資判断への織り込み方を解説します。
劣化には2種類ある
① サイクル劣化 充電と放電を繰り返すことによる劣化です。系統用蓄電池は毎日充放電するため、この影響を最も受けます。一般に「サイクル数」で耐久性が表され、産業用のリン酸鉄リチウム(LFP)系電池では数千〜1万サイクル程度の耐久性を持つ製品が多く見られます。
② カレンダー劣化 使わなくても時間経過で進む劣化です。温度が高い環境ほど進行が早いため、設置環境や空調・冷却の設計が寿命に影響します。
「寿命」=使えなくなる日ではない
蓄電池の寿命は「ある日突然使えなくなる」ものではなく、容量が徐々に減っていく性質のものです。一般に初期容量の70〜80%程度まで低下した時点を寿命の目安とすることが多いですが、そこに達しても運用は継続可能です。
投資の観点では、「何年で止まるか」ではなく「容量低下を収支計画に織り込んでいるか」が正しい問いです。年数経過とともに提供できる調整力・充放電量が減る前提のシミュレーションになっているか確認してください(回収期間の考え方参照)。
保証で確認すべき3点
- 保証期間と容量保証の水準:「○年で△%以上の容量を保証」という形が一般的。年数だけでなく容量の数字を見る
- 保証の条件:指定された運用範囲(温度・充放電条件)を守ることが前提になっていないか、EMSの制御がその範囲に収まる設計か
- 保証の実行体制:保証申請の窓口はどこか。海外メーカーの場合、国内に対応窓口があるか
スペックの読み解き方はスペックの読み方ガイドもあわせてご覧ください。
劣化を抑える運用
劣化速度は運用で変わります。極端な満充電・完全放電を避ける、高温を避ける、といった制御はEMSが担います。つまり、EMSの制御品質が寿命にも効くということです(EMSとは何か参照)。設備選定と運用体制はここでもつながっています。
まとめ
劣化は避けられませんが、予測して織り込むことはできます。確認すべきは「サイクル耐久の仕様値」「容量低下込みの収支計画」「容量保証の条件」の3点です。当社の物件では採用機種の仕様と保証条件を商談時にご説明しています。無料相談でお気軽にお尋ねください。
※仕様・保証条件はメーカー・機種により異なります。
