11月のシリーズ「蓄電池はどう稼ぐか」。今日は、10月13日の国の会合の1つ目のポイント、**需給調整市場の「席」**の話です(会合の全体像は国の最新資料と、九州に追い風の理由)。
需給調整市場とは
需給調整市場は、電気の需要と供給のズレを埋める「調整力」を、送配電会社が買う市場です。蓄電池は応答が速く、調整力の担い手として期待されてきました。これまで系統用蓄電池の収益の柱になってきたのが、この市場です(「調整力」という裏方の仕事)。
2つの数字を並べる
国の資料より(資料1 p.48)
「2035年度時点では、他の電源も含めると蓄電池は577万kWで充足するとの見通しが示されている。」
一方で、接続契約まで進んだ蓄電池は約4,100万kWあります(資料1 p.36・p.48)。
| 量 | 出典 | |
|---|---|---|
| 2035年度、調整力として充足する見通しの蓄電池 | 577万kW(他の電源も含めて) | 資料1 p.48 |
| 接続契約まで進んだ蓄電池 | 約4,100万kW | 資料1 p.36・p.48 |
これは、需給調整市場の席が、控えている蓄電池の量に比べてずっと少ないことを示していると考えられます。
何が起きる可能性があるのか
資料1は、この状況が「ほぼ需給調整市場のみで運用を行う従来のビジネスモデルに影響を及ぼす可能性がある」としています(資料1 p.48)。
席より多くの蓄電池が同じ市場に集まれば、入札の競争は厳しくなり、落札できる量や価格が下がる可能性があります。実際に、需給調整市場の上限価格は段階的に引き下げられてきました。この点は明日の記事で取り上げます。
それでも需給調整市場は柱の一つ
ここで誤解のないようにお伝えしたいのは、需給調整市場がなくなるわけではないということです。調整力は電力系統にとって欠かせないもので、蓄電池はその担い手であり続けると考えられます。
当社の投資シミュレーションも、需給調整市場を中心とした試算です。そのうえで、席が限られていく流れを前提に、収益の柱を1本に頼らないことが大切になると考えています。国の資料が示した次の柱が、卸電力市場の値差と上げDRです。
注意しておきたいこと
- 577万kWは2035年度時点の見通しで、前提が変われば見直される可能性があります
- 接続契約まで進んだ蓄電池が、すべて運転を始めるとは限りません
- 需給調整市場の価格やルールは、今後も変わる可能性があります
※本記事は、国などの公表資料をもとにした一般的な情報提供を目的としたもので、将来の収益を保証するものではありません。制度や市場のルールは今後変わる可能性があります。
