この記事のもとになった国の会合
- 会議:総合資源エネルギー調査会 分散型エネルギー推進戦略ワーキンググループ(第4回)
- 開催日:2026年10月13日
- 事務局:資源エネルギー庁
- 資料:資料1「分散型エネルギーリソースを取り巻く状況と今後の議論対応」
- 会合ページ(経済産業省ウェブサイト)
この記事では、「国の資料より」の枠内は資料1の原文(ページ番号つき)、「当社の解説」はそれをもとにした当社の見方です。
1. 需給調整市場で、いま何が起きているか
国の資料より(資料1 p.48)
「2035年度時点では、他の電源も含めると蓄電池は577万kWで充足するとの見通しが示されている。」
「ほぼ需給調整市場のみで運用を行う従来のビジネスモデルに影響を及ぼす可能性がある。」
当社の解説
一方で、接続契約まで進んだ蓄電池は約4,100万kWあります(資料1 p.36・p.48)。需給調整市場の上限価格も、19.51円 → 15円 → 10円(円/ΔkW・30分)と段階的に引き下げられてきました(資源エネルギー庁 電力安定供給WG 資料8、EPRX)。需給調整市場の席は、控えている蓄電池の量に比べてずっと少なく、需給調整市場だけですべての蓄電池が稼ぎ続けるのは難しくなると考えています。
2. 国が示した次の方向
国の資料より(資料1 p.48)
「需給調整市場で利用できない蓄電池が卸電力市場にて活用されるなどの動きが出る可能性もあり、その動向を注視していくことは重要。」
「蓄電池には、調整電源としての利用のみならず、再生可能エネルギーのピーク調整への利用が期待されているところ、如何なる出力制御の抑制に資する取組が可能か、検討していくこととしてはどうか。」
新しい稼ぎ方1:卸電力市場の値差
電気が余って安い昼に充電し、高い夕方に放電して、その価格の差を収入にする方法です。
国の資料より(資料1 p.37)
補助金で導入された蓄電池の2025年度の運用データで「8.3円/kWh(買電)、14.8円/kWh(売電)であり、約6.5円/kWh程度の値差を得ている傾向が見られた」。
国の資料より(資料1 p.38)
「卸電力市場で1日4時間(8コマ)の充放電を行い、5~10円/kWhの値差を獲得した場合の想定収入は、需給調整市場で1~2円/ΔkW・30分で1日約20回約定した場合の想定収入と概ね同水準の試算結果となった」。
新しい稼ぎ方2:上げDR
国の資料より(資料1 p.3)
今後の議論の方向として「上げDR(出力制御の抑制)の拡大」が挙げられています。
当社の解説
上げDRは、再エネが余って出力制御になりそうな時間に、蓄電池の充電などで電気の使い道をつくることです。具体的な仕組みは、これから決まります。
3. 当社の解説:九州の強み
ここからは、国の資料のデータなどをもとにした当社の見方です。
- 値差の大きい日が多い:資料1 p.38のエリア別データをもとに当社が集計すると、1日の値差が10円/kWh以上あった日の割合(2021年4月1日〜2026年9月12日)は、九州が60%で全国で最も高くなりました。値差が小さい日(0〜5円)の割合も11%で全国最少です(資料1 p.38)。
- 電気の余りが大きい:九州電力送配電の想定では、2026年5月のある日の13時、発電できた電気約1,716万kWのうち、揚水や蓄電池で吸い、他のエリアへ送っても、なお584万kWを出力制御で止める計算です。
- 4時間分の容量:当社の低圧蓄電池(AC50kW/DC200kWh)は、国が値差の試算に使った1日4時間の充放電と同じ設計です。
九州は値差と電気の余りの両方が全国トップクラスです。国が上げDRの仕組みを整えれば、恩恵を受けやすいのは九州だと考えています(仕組みは今後の検討次第です)。
注意しておきたいこと
- 需給調整市場の上限価格は、さらに下がる可能性があります(7.21円も候補)
- 卸電力市場の値差は、年や天候によって変わります
- 上げDRの具体的な仕組みは、まだ決まっていません
- 低圧の接続ルールは厳しくなる方向です(2026年10月6日の会合で、敷地の分割設置への対策案が示されました)
※本記事と資料は、国などの公表資料をもとにした一般的な情報提供を目的としたもので、将来の収益を保証するものではありません。制度や市場のルールは今後変わる可能性があります。
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グラフと出典の一覧は、資料に掲載しています。
