「蓄電池投資に融資は使えますか」。商談の場でよくいただくご質問です。
先にお答えしておくと、当社は融資の可否を判断する立場にありません。融資を行うかどうか、どのような条件になるかは、金融機関・案件・お客様のご状況によって異なり、最終的には各金融機関の審査によって決まります。この記事でも、特定の金融機関名や金利、審査の基準となる数字には触れません。書けることは、相談に向けてどんな準備ができるかという一点です。
融資の可否は、三つの掛け算で決まる
一般論として、設備投資への融資は次の三つが揃って検討されます。
- お客様ご自身のご状況:収入や資産、既存の借入、事業をされている場合はその実績。
- 案件そのものの内容:どんな設備を、いくらで、いつから動かすのか。
- 金融機関ごとの方針:どの分野にどれくらい取り組むかは、金融機関によって考え方が異なります。
このうち1と3は、物件を扱う当社が関与できる部分ではありません。私たちがお手伝いできるのは、2について説明できる材料を揃えることです。
審査で見られるのは「収支計画」と「実績データ」
設備投資の相談では、その設備がどう収益を生むのかを説明できることが出発点になります。蓄電池の場合、論点はおおむね次の二つに集約されます。
① 収支計画に根拠があるか
想定収益が何を前提に置いた数字なのか。市場のどのデータに基づいているのか。そして、前提が下振れした場合にどうなるのか。上振れシナリオだけの計画より、保守的なケースまで示した計画のほうが、対話は成立しやすくなります(3シナリオ試算、実質利回りの考え方)。
② 実績データで裏付けられるか
蓄電池の収益は市場価格に連動するため、FIT時代の太陽光のように買取価格が長期固定されているわけではありません。そのぶん、「実際にいくらで約定しているのか」という市場の実データが説明の土台になります。一次調整力の約定実績や容量市場の約定価格は公開情報として確認できます(一次調整力の実データ、容量市場)。
当社がご用意できる資料
当社は物件ごとに、以下の資料をご用意しています。金融機関へのご相談にそのままお使いいただけます。
- 物件概要書:設備仕様、所在、価格、系統連系の進捗、運転開始の予定時期
- 収支に関する資料:想定収益の前提と、その根拠となる考え方
- 施工・保守体制の説明:誰が工事を行い、稼働後は誰が対応するのか
補足すると、保守体制は収益の安定性に直結する項目です。故障して止まっている間は収益が生まれないため、復旧までの体制は事業計画の一部として説明すべき内容だと考えています(ダウンタイムと対応スピードの価値)。
ご相談の前に、お手元で整えておきたいもの
金融機関へ行かれる前に、次のものをまとめておくとスムーズです。
- ご自身の直近の収入・資産の状況が分かる資料
- 自己資金としてどれくらい充てられるかの見通し
- 既存の借入の状況
- 上記の物件概要書・収支資料
「いくら借りられますか」から入るより、「この設備をこういう計画で持ちたい」と説明できる状態で臨まれるほうが、話は前に進みやすいと思います。
念のため、申し上げておきたいこと
融資を使えば、自己資金だけの場合より少ない元手で始められます。一方で、返済は市場価格の変動とは無関係に発生します。収益が想定を下回る年があっても、返済義務がなくなるわけではありません。
蓄電池の収益は需給調整市場・卸電力市場の価格に連動して変動し、制度改定や機器の経年劣化の影響も受けます(リスクの話を正直にします)。借入を前提とする場合は、収益が下振れした状態でも返済が続けられるかを、ご自身の資金繰りのなかで確認しておくことをおすすめします。
まとめ
- 融資の可否と条件は、金融機関・案件・お客様のご状況により異なります。
- 説明の土台になるのは、根拠のある収支計画と市場の実績データ。
- 当社は物件ごとの概要書・収支資料・体制の説明をご用意しており、金融機関へのご相談にお使いいただけます。
- 借入を使う場合は、下振れ時の返済可能性まで含めてご検討ください。
資料のご請求やご相談はお問い合わせから承ります。資金調達の選択肢の全体像は融資と資金調達の選択肢もあわせてご覧ください。
※本記事は一般的な情報提供であり、特定の金融商品・融資の利用を推奨するものではありません。融資の可否および条件は各金融機関の審査によります。詳しくは取引のある金融機関、または税理士・ファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。
