前編 でJEPXスポット市場と容量市場を見ました。本記事では3つめの収益源、 需給調整市場 を解説します。
需給調整市場は、蓄電池の 「数秒で応答できる」という特性が高く評価される 市場で、kW単価で年間1〜3万円という高単価がつくこともある重要な収益源です。
需給調整市場:「速さ」を売る市場
何のための市場か
需給調整市場は、 電力系統のリアルタイムな需給バランス調整に貢献する電源 を集める市場です。
電力系統は、需要と供給が常に一致していないと周波数が乱れて停電します。電力会社(一般送配電事業者)は秒〜分単位で需給を調整する必要があり、そのために 応答が速い電源 を募集しています。
蓄電池の優位性
火力発電は出力変更に数分〜数十分かかります。一方、 蓄電池は数秒で出力をフルに変動させられる ため、需給調整市場では 最も価値の高い電源カテゴリ に分類されます。
5つの調整商品
需給調整市場には応答速度別に5つの商品が存在します。
| 商品名 | 応答時間 | 蓄電池の適性 |
|---|---|---|
| 一次調整力 | 10秒以内 | 最適(最高単価) |
| 二次調整力① | 5分以内 | 適合 |
| 二次調整力② | 5分以内 | 適合 |
| 三次調整力① | 15分以内 | 適合 |
| 三次調整力② | 45分以内 | 適合 |
蓄電池は 特に「一次調整力」で高単価 を得ることができます。kW単価で年間 1〜3万円 と、容量市場の数倍の単価がつくこともあります。
収益寄与の試算
仮にAC50kW蓄電池が一次調整力で約定し、単価が15,000円/kW/年だった場合、
需給調整市場収益 = 50kW × 15,000円 = 約 75万円/年
JEPXスプレッド収益(600万円)の 約12-15%程度を上乗せ する効果があります。
制約事項
需給調整市場に参加する場合、 常に一定容量を「予備」として残しておく必要 があります(呼び出されたらすぐに応答するため)。このため、 JEPXスプレッド収益が若干減る トレードオフが発生します。
最適なバランスは、 「予備容量を一定確保しつつ、残りでJEPXアービトラージを最大化」 という設計。これも自動運用システムが最適化します。
レベニュースタックの全体像
JEPXスポット + 容量市場 + 需給調整市場 を組み合わせると、
| 収益源 | 年間収益(標準モデル) |
|---|---|
| JEPXスプレッド | 約 600万円 |
| 容量市場 | 約 40万円 |
| 需給調整市場 | 約 60万円 |
| 合計 | 約 700万円 |
JEPX単独より 約16-18% 多い 収益が得られ、しかも 市場が逆風になった時の下支え にもなります。
アグリゲーターの役割
低圧蓄電池オーナーが個別に3つの市場に参加することは現実的に不可能です。 アグリゲーターと呼ばれる事業者 が複数オーナーの蓄電池を束ね、市場に参加します。
オーナーは アグリゲーターと運用契約を結ぶだけ で、これら全市場からの収益を取りに行ける構造になっています。
信和の標準パッケージでは、 アグリゲーター連携を含む全市場参加 が組み込まれているため、オーナーが個別に手続きする必要はありません。
まとめ
蓄電池の収益は 「JEPXだけ」ではなく、容量市場と需給調整市場を組み合わせた『レベニュースタック』 で考えるのが業界標準になっています。
- JEPX単独 → 約600万円
- 3市場活用 → 約700万円(+16-18%)
低圧蓄電池でもアグリゲーター経由でこれらの市場に参加できる仕組みが整っており、 収益ポートフォリオの設計 が今や蓄電池ビジネスの主戦場です。
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