ここまで、系統連系の回答、工事費負担金、電線側の工事と、「つなぐ」までの流れを見てきました。
では、蓄電池が電力系統につながれば、その日から収益が生まれるのでしょうか。答えは「そうとは限りません」です。今日は、連系のあとに何が必要なのかを整理します。
連系は「電気をやり取りできる状態」になること
連系とは、蓄電池が電力系統とつながり、電気をやり取りできる状態になることです。
ただ、蓄電池が収益を生むのは、電力市場に参加して、充電・放電を「取引」として行うからです。電線につながっただけでは、市場に参加したことにはなりません。
つまり、物理的につながることと、市場で取引できることは、別の段階なのです。
市場に参加するための準備がある
蓄電池の運用は、一般にアグリゲーターが担います。多数の分散設備をまとめて電力市場に参加し、市場の状況に応じて各設備に充放電を指示する事業者です(アグリゲーターとは)。
アグリゲーターが蓄電池を使って市場に参加するには、市場ごとの登録や手続きが必要になります。
一例として、需給調整市場について、電力需給調整力取引所のよくある質問では、
- 取引所による取引会員資格審査
- その地域の送配電会社(属地TSO)による事前審査
- 制御のための回線工事、契約の締結
といった流れを経て、入札ができるようになると案内されています。
どの市場に、どのような形で参加するかは、設備やアグリゲーターとの契約によって異なります。ここで大切なのは、連系のあとにも、市場参加のための準備の段階があるということです。
「つながった日=収益開始日」ではない
この準備が整い、アグリゲーターのもとで充放電の運用が始まって、初めて本格的な運用になります。
そのため、収支計画を立てるときは、
- 連系の時期
- 市場参加の準備が整う時期
- 本格的な運用が始まる時期
を分けて考えておくことが大切です。連系の日を収益開始の日として計画してしまうと、その間のずれがそのまま計画との差になります(リードタイムを逆算する)。
また、運用が始まったあとも、収益は市場価格などによって変動します。最初の月から想定どおりの収益になるとは限りません(需給調整市場の収益はなぜ変動する?)。
オーナー様にとっての意味
市場参加の手続きの多くは、アグリゲーター側で進めるものです。オーナー様が一つひとつの審査に関わる場面は多くありません。
それでも、
- 連系から本格運用までに、もう一段階あること
- その期間は、設備やアグリゲーターとの契約、制度によって変わること
- 収益の入り方は、アグリゲーターとの契約にもとづくこと(稼働後の運用と収益の入り方)
を知っておくと、「つながったのに、まだ収益が出ない」と不安になることは少なくなるはずです。
まとめ
- 連系は、蓄電池が電力系統と電気をやり取りできる状態になること
- 収益を生むには、市場に参加するための登録・手続きが別に必要
- アグリゲーターとの準備が整ってから本格的な運用になる。「つながった日=収益開始日」ではない
出典:
- 一般社団法人 電力需給調整力取引所「よくあるご質問(需給調整市場)」
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。市場参加の方法・手続き・時期は、設備・契約・制度により異なります。
