「心配ごと編」の4回目は、停電です。ご相談の場で、こんな質問をいただくことがあります。
「停電したら、蓄電池に貯まっている電気を使えるんですか?」
結論から言うと、系統用蓄電池は、停電時には安全のため自動的に停止します。貯まっている電気を、その場で近所に配ったり、非常用電源として使ったりするものではありません。
停電すると、なぜ止まるのか
系統用蓄電池は、PCS(パワーコンディショナ)を介して電力会社の配電線につながっています。停電が起きると、PCSがそれを検知して、自動的に運転を止め、系統から切り離れます。
これを単独運転防止といいます。
もし停電中に蓄電池だけが電気を出し続けると、電力会社側は止まっているつもりの配電線に、電気が流れている状態になってしまいます。
- 復旧作業にあたる作業員が感電する危険がある
- 電圧や周波数が不安定な電気が流れ、機器を傷めるおそれがある
こうした事態を防ぐため、系統につながる発電設備・蓄電設備には、停電を検知して止まる機能が求められています。太陽光発電のパワーコンディショナが停電時に止まるのも、同じ理由です。
では、系統用蓄電池の役割は何か
停電時に使えないなら、何のためにあるのか。系統用蓄電池の役割は、ふだんの需給調整です。
- 電気が余る時間に充電し、足りない時間に放電する
- 周波数の乱れに素早く応答して、需給のバランスを整える
こうした働きで、電気の安定そのものを日常的に支えるのが系統用蓄電池の仕事です(「調整力」という裏方の仕事)。停電が起きてから助けるのではなく、ふだんから電気を安定させる側にいる、という位置づけです。
家庭用蓄電池との違い
一方、家庭用蓄電池の多くには自立運転機能があります。停電時には系統から切り離したうえで、家の中の決められたコンセントや回路に電気を供給します。
| 系統用蓄電池 | 家庭用蓄電池(自立運転機能あり) | |
|---|---|---|
| 主な目的 | 需給調整・市場での運用 | 自家消費・停電時の備え |
| 停電時 | 安全のため自動停止 | 系統から切り離して宅内に給電 |
| 電気を使う人 | 電力系統全体 | その家の住人 |
「蓄電池なら停電に強い」というイメージは、主に家庭用のものです。両者は名前が同じでも、役割がまったく違います(系統用と家庭用の違い)。
投資として見るときの注意点
停電中は蓄電池も止まるため、その間は収益が立ちません。停電からの復旧後は、条件を確認したうえで運転に戻ります。
大規模な停電が長く続くケースは多くありませんが、「停電時にも稼げる」「非常用電源になる」といった説明を受けた場合は、何を指しているのかを確認してください(止まっている時間が損失)。
まとめ
- 系統用蓄電池は、停電時に安全のため自動停止する(単独運転防止)。
- 理由は、復旧作業者の感電や機器の損傷を防ぐため。
- 役割は停電時の非常用電源ではなく、ふだんの需給調整で電気の安定を支えること。
- 停電時に宅内で使えるのは、自立運転機能のある家庭用蓄電池。
仕組みについてご不明な点は、無料相談でお尋ねください。
※停止・復帰の動作は、機器の仕様や系統連系の条件により異なります。
