株式会社信和 低圧系統用蓄電池事業

JEPXスプレッドは構造的に拡大している ── 2024-2026年の実績

業界動向2026-04-04読了 4
夕方の送電線と電力インフラ

蓄電池ビジネスを語る上で避けて通れないテーマが、 「JEPXのスプレッド(昼夜の価格差)がこれからも拡大していくのか」 という問いです。

蓄電池の収益はこのスプレッドに直結しており、スプレッドが縮まればビジネスが成立しなくなります。本記事では2024-2026年の実績データを踏まえ、 構造的拡大の最大要因(太陽光発電の累積増設) を解説します。

まず実績:2024-2026年のスプレッド推移

JEPX公開データから、九州エリアの月次平均スプレッド(日次最高価格 − 最低価格)を整理すると、

年月 月次平均スプレッド 備考
2024年5月 14.2円/kWh
2024年8月 22.8円/kWh 猛暑による需要急増
2024年12月 19.4円/kWh 寒波による暖房需要
2025年5月 18.6円/kWh GW中の需要減
2025年8月 26.3円/kWh 過去最高クラスの猛暑
2025年12月 21.7円/kWh
2026年4月 22.0円/kWh 太陽光ピーク期

5年前の同月比で約1.5-2倍 に拡大しています。月によっては30円を超えるコマも頻繁に発生しており、 構造的な変化が進行中 であることが数字で見えます。

JEPX九州 月次平均スプレッド推移
九州エリア月次スプレッドの推移。2025年8月は猛暑による需要急増で過去最高クラスの26.3円を記録。

構造的拡大の最大要因:太陽光発電の累積増設

スプレッド拡大の最大の要因は、 太陽光発電容量の急増 です。

数字で見る太陽光の伸び

全国の太陽光導入量(累計)
2015年 約29GW
2020年 約64GW
2025年 約95GW
2030年想定 約120-150GW

つまり、 直近10年で3倍以上 に増えています。

国内太陽光発電 累積導入量推移
2015年29GW → 2025年95GW、2030年は135GW前後と見込まれている。

スプレッドに効くメカニズム

太陽光は 晴天の日中(特に10-14時) に集中して発電します。九州や四国・北海道といった日射条件が良いエリアでは、 昼間に発電量が需要を上回り、JEPX価格がゼロ円付近まで下落するコマが日常化 しています。

一方、太陽光が止まる 夕方17時以降は需要も残り、火力発電のコストが価格を押し上げる ため、価格は高止まりします。

太陽光が増えれば増えるほど 「昼の価格が下がり、夕夜の価格が高止まる」 という二極化が進み、スプレッドが拡大していくのです。

「ダックカーブ」現象

電力業界ではこの現象を 「ダックカーブ」 と呼びます。1日の価格カーブが、頭を下げたカモのような形状になる現象です。米カリフォルニア州が先行事例で、日本も2020年代後半から本格的にこのカーブが定着し始めました。

まとめ

JEPX九州エリアのスプレッドは、 5年前の1.5-2倍 に拡大しています。最大要因は 太陽光発電の累積導入量の3倍超増加 で、 ダックカーブ現象 が日本でも本格化しています。

しかし、太陽光増設だけがスプレッド拡大要因ではありません。 電力需要構造の変化と、新しい電力市場制度の影響 も無視できません。これらは続編で解説します。

続編: スプレッドが今後も拡大する3つの理由(需要構造・制度進化・縮小リスク)

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