蓄電池ビジネスを語る上で避けて通れないテーマが、 「JEPXのスプレッド(昼夜の価格差)がこれからも拡大していくのか」 という問いです。
蓄電池の収益はこのスプレッドに直結しており、スプレッドが縮まればビジネスが成立しなくなります。本記事では2024-2026年の実績データを踏まえ、 構造的拡大の最大要因(太陽光発電の累積増設) を解説します。
まず実績:2024-2026年のスプレッド推移
JEPX公開データから、九州エリアの月次平均スプレッド(日次最高価格 − 最低価格)を整理すると、
| 年月 | 月次平均スプレッド | 備考 |
|---|---|---|
| 2024年5月 | 14.2円/kWh | |
| 2024年8月 | 22.8円/kWh | 猛暑による需要急増 |
| 2024年12月 | 19.4円/kWh | 寒波による暖房需要 |
| 2025年5月 | 18.6円/kWh | GW中の需要減 |
| 2025年8月 | 26.3円/kWh | 過去最高クラスの猛暑 |
| 2025年12月 | 21.7円/kWh | |
| 2026年4月 | 22.0円/kWh | 太陽光ピーク期 |
5年前の同月比で約1.5-2倍 に拡大しています。月によっては30円を超えるコマも頻繁に発生しており、 構造的な変化が進行中 であることが数字で見えます。
構造的拡大の最大要因:太陽光発電の累積増設
スプレッド拡大の最大の要因は、 太陽光発電容量の急増 です。
数字で見る太陽光の伸び
| 年 | 全国の太陽光導入量(累計) |
|---|---|
| 2015年 | 約29GW |
| 2020年 | 約64GW |
| 2025年 | 約95GW |
| 2030年想定 | 約120-150GW |
つまり、 直近10年で3倍以上 に増えています。
スプレッドに効くメカニズム
太陽光は 晴天の日中(特に10-14時) に集中して発電します。九州や四国・北海道といった日射条件が良いエリアでは、 昼間に発電量が需要を上回り、JEPX価格がゼロ円付近まで下落するコマが日常化 しています。
一方、太陽光が止まる 夕方17時以降は需要も残り、火力発電のコストが価格を押し上げる ため、価格は高止まりします。
太陽光が増えれば増えるほど 「昼の価格が下がり、夕夜の価格が高止まる」 という二極化が進み、スプレッドが拡大していくのです。
「ダックカーブ」現象
電力業界ではこの現象を 「ダックカーブ」 と呼びます。1日の価格カーブが、頭を下げたカモのような形状になる現象です。米カリフォルニア州が先行事例で、日本も2020年代後半から本格的にこのカーブが定着し始めました。
まとめ
JEPX九州エリアのスプレッドは、 5年前の1.5-2倍 に拡大しています。最大要因は 太陽光発電の累積導入量の3倍超増加 で、 ダックカーブ現象 が日本でも本格化しています。
しかし、太陽光増設だけがスプレッド拡大要因ではありません。 電力需要構造の変化と、新しい電力市場制度の影響 も無視できません。これらは続編で解説します。