株式会社信和

2,030万円で年500万円は本当か ── 蓄電池収益500万円の中身を分解

投資評価2026-04-25読了 4
投資・収益のイメージ

「2,030万円投資して、年間500万円の収益。これは本当ですか?」

これは投資判断の現場で必ず出る質問です。本記事ではこの 「500万円」という数字の中身を完全に分解 し、何が前提でどう計算されているのかを正直に解説します。

「数字を信じてください」ではなく 「自分で計算できるようになる」 ことを目的にした記事です。

大前提:信和の標準モデル

まず、議論の出発点となる構成を整理します。

項目
蓄電容量 100kWh(使用可能)
系統連系出力 49.9kW(低圧区分)
販売価格 2,030万円(プレミアム価格・税込/用地紹介手数料込み)
主たる運用先 需給調整市場(一次調整力)
想定稼働日数 360日/年(メンテ5日除く)

ここに、需給調整市場での収益モデルを乗せていきます。

収益の計算ロジック

一次調整力の収益は、電気を「売った量」ではなく 「調整力として待機させた容量 × 時間」 に対して支払われます。ここが卸電力市場(JEPX)でのアービトラージと決定的に違う点です。

取引は30分を1コマとして行われ、約定価格は 円/kW/30分 で決まります。

基本式

年間収益 = 出力(kW) × 落札単価(円/kW/30分) × 48コマ × 稼働日数

パラメータごとの仮定

  • 出力:49.9kW
  • 落札単価:5.8円/kW/30分(当社がEPRXの実データで確認した一次調整力の約定実績は 30分あたり5〜6円/kW程度。その中央付近を採用)
  • コマ数:48コマ/日(30分 × 48 = 24時間)
  • 稼働日数:360日

これを代入すると、次のようになります。

49.9kW × 5.8円/kW/30分 × 48コマ × 360日 ≒ 約 500万円/年

これが「初年度収益約500万円」の根拠です。

単価レンジで見た場合

EPRX実績の 5〜6円/kW/30分 というレンジをそのまま当てはめると、

5円の場合 ≒ 約 431万円/年
6円の場合 ≒ 約 517万円/年

標準モデルの500万円は、このレンジのほぼ中央に位置する水準です。約定実績の詳細は 「一次調整力の実データ」 で解説しています。

なぜ「5〜6円/kW/30分」と仮定するのか

一次調整力の約定価格は、需給の逼迫度・季節・エリアによって上下します。当社はEPRX(需給調整市場システム)の約定実績を継続的に確認しており、標準ケースにはその実測レンジの中央付近を採用しています。

単価が変われば収益はほぼ比例して動きます。3シナリオでの感応度は次のとおりです。

シナリオ 落札単価 年間収益
保守的 4.9円/kW/30分 約420万円
標準 5.8円/kW/30分 約500万円
好調時 7.0円/kW/30分 約600万円

シナリオごとの詳細と投資回収期間は 「3シナリオ試算」 で解説しています。

なぜ「待機だけ」で収益になるのか

蓄電池は、放電することで出力を上げる(上げ調整)ことも、充電することで需要を増やす(下げ調整)こともできます。応答も速いため、系統の周波数を守る調整力として最適な電源です。

そして一次調整力では、実際に充放電の指令が来なくても 「いつでも動ける状態で待機していること」自体に対価が支払われます。これが、稼働率に左右されにくい安定収益をもたらします。

詳しくは 「需給調整市場とアグリゲーター」 を参照ください。

まとめ

「年間粗利500万円」という数字は、

  • 出力 49.9kW
  • 落札単価 5.8円/kW/30分(EPRX実績 5〜6円のレンジ中央付近)
  • 48コマ/日 × 360日稼働

という前提から導出されたものです。相場を読んで当てにいく数字ではなく、 約定実績のレンジに素直に乗せた値 である点が重要です。

ただし、これは 粗利(市場収益) であり、お客様の手取りではありません。ここから地代・運用費・税金・保険などが引かれます。 実際の手取りはいくらか 、続編で計算します。

続編: 税引後の手取りはいくらか ── 利回り計算とキャッシュフロー

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