株式会社信和 低圧系統用蓄電池事業

スポット市場の価格決定メカニズムと、価格を動かす5要因

基礎解説2026-05-01読了 4
変電所と電力市場のイメージ

前編 でJEPXの4市場を見ました。本記事ではその主戦場である スポット市場の価格がどう決まるのか 、そして 何が価格を動かすのか を解説します。

スポット市場の仕組み

スポット市場は 「ブラインドシングルプライスオークション」 という方式で運営されます。仕組みはこうです。

① 1日48コマに分割

スポット市場は、翌日の電力供給時間を 30分単位で48コマ に区切ります。例えば「明日の10:00-10:30」「明日の10:30-11:00」がそれぞれ別の取引コマになります。

② 売り手と買い手が入札

前日10時までに、発電事業者は 「このコマで◯円なら△kWh売る」 と入札し、小売事業者は 「このコマで◯円なら△kWh買う」 と入札します。

③ オークションで価格決定

JEPXのシステムが、 売り入札を安い順、買い入札を高い順に並べて、需給が一致する点(約定価格)を計算 します。

シングルプライスオークションの仕組み
売り入札と買い入札が交差する点が約定価格。約定者は全員同じ価格で取引する。

結果として、 そのコマで取引する全員が同一の約定価格 で電力を売買することになります。これが「シングルプライス」と呼ばれる所以です。

④ 当日13時頃に価格公表

毎日13時頃、翌日48コマの約定価格がJEPXのWebサイトで公表されます。蓄電池オーナーや運用システムは、このデータを見て翌日の充放電計画を立てます。

価格を動かす主要な5要因

スポット価格は需給バランスを反映して激しく動きます。主要な要因は5つあります。

要因1:太陽光発電の出力

晴天で太陽光発電が大量に出るコマは、価格が下がります。逆に曇天・雨天は価格が高くなります。 天気予報がそのまま価格予報 に近い構図です。

要因2:気温と冷暖房需要

真夏の冷房ピーク(14-17時)、真冬の暖房ピーク(朝7-9時、夕18-21時)は需要が跳ね上がり、価格も高くなります。

要因3:曜日・祝日

工場やオフィスが稼働する平日は需要が高め、休日は低めです。連休中は特に需要が落ち、価格が下がる傾向があります。

要因4:原発・火力の稼働状況

電力供給量を左右する 大型電源の定期点検・トラブル停止 は、スポット価格に直接影響します。原発の再稼働ニュースが出ると、数週間先の先渡価格まで一気に動きます。

要因5:燃料価格

火力発電のコストはLNG・石炭・原油の価格に直結します。 国際的なエネルギー価格 はそのまま電力卸価格に伝播します。2022年のロシア・ウクライナ情勢で価格が異常高騰したのは記憶に新しいところです。

蓄電池オーナーは毎日見るべきか

「ここまで毎日チェックしないといけないのか」と思うかもしれませんが、 個人オーナーが毎日張り付く必要はありません

実際の運用は、自動運用システムが過去データと予報データを使い、 「明日のどのコマに充電し、どのコマに放電するか」を機械的に判断 します。オーナーが見るべきは、 月次・四半期での収益レポート で十分です。

ただし、 「なぜ収益がこの金額になったか」を理解するため には、JEPX価格の基本構造を把握しておく価値があります。市場が大きく動いた月にレポートを見て、「ああ、あの猛暑日のスプレッドが効いたんだな」と腹落ちできる状態を目指しましょう。

まとめ

JEPXスポット市場は、 シングルプライスオークション で1日48コマの価格が決まる市場です。価格を動かすのは天気・気温・曜日・大型電源稼働・燃料価格の5要因。

これらを基礎知識として理解しておくと、月次収益レポートが「ただの数字」から「市場の動きを反映したストーリー」に見えてきます。

次に読む: 蓄電池投資の利回りを徹底計算

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