「蓄電池で本当に利益が出るのか?」
信和が初回相談時に最もよく受ける質問の一つです。
結論から言えば、原理は 「電気の安い時間に買って、高い時間に売る」 だけのシンプルな価格差取引(アービトラージ)です。本記事ではその大前提となる、 「電気の値段がそもそも1日の中で何度も変わる」 という仕組みを解説します。
JEPXのスポット価格は1日に48回変わる
日本の卸電力市場であるJEPX(日本卸電力取引所)のスポット市場は、 1日を48コマ(30分ごと) に区切って、それぞれのコマで電力の売買価格が決まる仕組みになっています。
つまり、ある日のある時間帯に「1kWhあたり3円」だった電力が、別の時間帯では「30円」になることが日常的に起きています。 同じ1日の中で10倍の価格差 が生まれることも珍しくありません。
この 時間帯ごとの価格差 こそが、蓄電池ビジネスの収益源です。
価格が動く2つの原因
JEPX価格は、 需要と供給のリアルタイムなバランス で決まります。価格が大きく動く要因は次の2つです。
① 太陽光発電が供給する時間帯(昼)は価格が下がる
晴天の日中、特に春や秋の昼間は、全国で大量の太陽光発電が稼働し電力が市場に放出されます。需要を大きく上回る供給が出ると、価格はゼロ円付近まで落ちることがあり、一部の時間帯では マイナス価格(出した方が損する=逆に売り手がお金を払う) すら発生します。
② 太陽光が止まる夕方〜夜は価格が跳ね上がる
太陽が沈むと太陽光発電は急速にゼロへ。一方、家庭・オフィス・工場の電力需要は夕方にピークを迎えます。供給が減り需要が増えるため、 夕方17時〜21時頃の価格は1日の中で最高値 になることが一般的です。
なぜ「今」これが収益機会なのか
「価格差で稼ぐ」というコンセプトは20年以上前から存在しましたが、当時のJEPXは価格差がほとんどなく、蓄電池ビジネスは成立しませんでした。
近年スプレッドが拡大しているのは、 再生可能エネルギー(特に太陽光)の急増 によるものです。太陽光発電所が増えるほど、
- 日中:供給が需要を圧迫 → 価格が劇的に下がる
- 夕夜:太陽光が消えても需要は残る → 価格が高止まり
というギャップが構造的に拡大していきます。エネルギー庁の試算でも、2030年に向けて再エネ比率が上がるにつれ、 昼夜スプレッドは現在より広がる方向 だと指摘されています。
まとめ
JEPXスポット市場は 1日48コマ × 365日 = 年間約17,000コマ という細かい単位で価格が動く市場。その振れ幅は、
- 太陽光発電による昼間の価格下落
- 夕方需要ピークでの価格上昇
の2つで作られています。この時間帯ごとの価格差が、蓄電池ビジネスの全ての出発点です。
実際にこの価格差をどう利益に変えるのか、具体的な収益例は続編で解説します。