株式会社信和 低圧系統用蓄電池事業

蓄電池の経年劣化と、回収後の世界 ── 10年累計リターン

投資評価2026-04-17読了 4
ファイナンス・投資計画のイメージ

前編 で3シナリオによる投資回収期間を見ました。本記事では、 「10年運用すると蓄電池は劣化するのでは?」 という疑問に答えながら、 投資回収後の世界、つまり10年間のトータルリターンを試算します。

蓄電池の経年劣化はどう効くか

「10年運用すると電池は劣化するのでは?」という質問もよく受けます。

リチウムイオン電池の標準的な劣化曲線は、 10年で容量が約80%まで低下 が業界目安です。これは、

  • 1年目:100%(90kWh実効)
  • 5年目:約90%(81kWh実効)
  • 10年目:約80%(72kWh実効)

という曲線をたどります。

蓄電池の容量劣化曲線
10年で容量約80%に低下する前提。年次劣化を織り込んだうえで収益試算している。

劣化込みでの収益試算

このため、 ベースシナリオの計算は年次劣化を平均年85%稼働で割り戻した値 で構成しています。10年トータルでは 概ね一定のキャッシュフロー が出続ける設計です。

実務的には、初期2-3年は理論性能近くで稼働するため収益が高め、後半は劣化で若干低下しますが、 平均化すれば年間税引前CF 約472万円 に着地する計算です。

「回収後」の世界

投資回収後(ベースシナリオなら4年目以降)は、 追加投資なしで純粋なキャッシュフローを生むフェーズ に入ります。

ベースシナリオで10年フル運用した場合の累計を見てみましょう。

10年累計税引前CF = 約 4,700万円
- 初期投資 2,000万円
─────────────────────────────
ネットリターン = 約 2,700万円

つまり、 2,000万円の元手を10年で約4,700万円に増やす 投資となります。年率換算では 約14-16%/年(IRR) に相当します。

10年後の蓄電池はどうなるか

10年経過した蓄電池は、容量80%程度に劣化していますが、 まだ実用上は十分に使えます。選択肢としては、

① 継続運用(11-15年目)

容量低下を許容して継続使用。年間収益は20%程度減りますが、 追加投資なし で延長運用できます。

② 部分リプレース

劣化が進んだセルだけ交換して容量回復。コストは初期投資の30-50%程度。

③ 全面リプレース

新しいシステムに更新。サイト・系統連系を維持したまま、 2台目のサイクル に入る。

④ 中古売却・スクラップ

中古蓄電池市場は形成途上ですが、 EV用などへのリユース需要 が今後拡大する見込み。

蓄電池投資の3つの数字

ここまでの試算をまとめると、蓄電池投資の数字感は次の3つで覚えると分かりやすいです。

指標 数字
税引後利回り 15-17%/年
投資回収期間(償却込み) 約 3.5年
10年累計ネットリターン 約 +1,300〜2,700万円(税引前後)

これらの数字は、 JEPX価格の構造的なスプレッド拡大 という前提に支えられています。前提が崩れない限り、再現性のある収益構造といえます。

まとめ

蓄電池の経年劣化(10年で容量80%)は織り込み済みで、ベースシナリオの試算には反映されています。

  • 10年運用で 税引前累計CF 約4,700万円
  • ネットリターン 約2,700万円
  • 年率換算 約14-16% IRR

これが標準的な低圧蓄電池投資のリターン構造です。具体的なお客様の土地・系統容量に応じた個別シミュレーションは、 お問い合わせフォーム よりご依頼ください。

次に読む: 太陽光・FIT・蓄電池の3投資比較

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